「惜しかった。」

先生はそれしか言わなかった。

泣きじゃくるあたしを日花梨先輩は優しく抱きしめる。

日花梨先輩だって泣きたいはずだ。

なのに、あたしは…。

10-8。

屈辱のスコアだ。

追い上げられた。

…リベンジを果たすことは出来なかった。

…悔しい。

何よりも自分が嫌だった。

 「愛華…。
  もう大丈夫だよ。」

 「あたし…何も出来なかった。」

 「そんなことない。」

日花梨先輩が軽く溜め息をついた。

 「少し一人で反省したい気分?」

 「…先輩さえよければ。」