…龍くんにこんなことを言わせた自分が悔しい。
一番つらいのは、龍くんやのに…。
涙を必死にこらえ、1つのことを決意する。
拓馬くんに……会う。
会って、ちゃんと話そう。
夏希に電話すると、驚いていたが、少し嬉しそうに話す彼女に、梓紗は少し緊張していた。
明後日に会う約束をし、電話を切る。
ちゃんと、話せるかな…。
不安と緊張が入り交じる中、その日はすぐに訪れた。
今日の夜、力也くんの家で拓馬くんに会う。
夏希が迎えにくるのを、まだかまだかとそわそわする。
そんなことを知らない夏希は、予定よりも少し早くについた。
夏希と共に、力也くんの家までの道のりを行く。
何も話さず、ただひたすら自転車をこいだ。
7月の夜は少し生暖かく、風が緩やかに吹いている。


