後ろ姿





───翌日の夜、龍くんにメールを送った。
ただ一言、゛話したい゛と。

すぐに家の前まで来てくれ、近くの公園に移動した。


呼び出したものの、自分の気持ちの伝え方に戸惑い、話を切り出せないでいた。

…沈黙が続く中、先に龍が口を開く。


「昨日、公園であずちゃん見つけたの…俺ちゃうねん。
 拓馬くんが見つけて…俺に電話くれた」


「えっ…」


「゛俺は行かれへん゛って、居場所だけ教えてくれて。
 理由は、すぐに分かった。
 …拓さんと、会うべきやと思う」


龍にも会うべきと告げられ、戸惑いを隠せない。


「1回後悔したとしても、それでも消えへんもんってあるやん?
 自分に嘘つくのはよくない。
 素直になれば、その分…幸せになれるよ」


目を細めて笑う彼に、何も言えず…頷くこともできなかった。


「これ以上の話は、ないよ。
 …次から会うときは、また初めて会ったときみたいに、仲良くしてください」


そういうと、彼は去って行った。
追いかけることも、出来なかった。