黙って立ちつくし、返事をしない彼女に、拓馬が一方的に話す。


「ここで何してるん?
 俺は、待ち合わせってやつ。
 てか、身長伸びた?」


久しぶりに会って…普通に話しかけられたことに、涙が出そうになる。
それを必死にこらえ、何も言わずにコンビニを出た。

その瞬間、一気に涙が溢れた。

龍くん…。龍くん…。

道も分からないのに、ただひたすら歩き続けた。

何も考えたくなくて、ただ無意識のうちに進む。


気づいたときには、小さな公園が目の前にあった。


「なんで、会うねん」


会いたかった。
ずっと…会いたかった。

忘れたくて、考えらんとこうとした。

誰も拓馬くんの名前を出さへんから、余計に忘れる努力ができた。

忘れかけて…もう、やっと龍くんに甘えるばっかりじゃない、そう思えたのに…。

なんで今さら、現れるんよ…!