そのあと、他愛ない会話をして夏希を玄関まで見送る。


「明日は学校、行くわなぁ」


夏希が自転車をこぎ出し、曲がり角まで見送ろうと背中を見る。
すると、夏希は振り返り…戻ってきた。


「拓ちゃん…元気やよ」


涙目になりながら、それだけ言うと彼女は自転車に乗り帰って行った。

久しぶりに、゛拓ちゃん゛の名前を耳にした。

その懐かしい響きに、少し涙腺が緩む。


なんで、今、そんなん言うん?
わざわざ戻ってきてまで、言うことなん?


いろんな疑問が浮かび上がったが、それは解決へとは結びつかなかった。