後ろ姿




受け取った袋で頭を冷やしていると、゛力也゛が部屋に戻ってきた。


「いけた?」


真横に腰をおろし、心配そうな目で見られる。


「ありがとう…」


目を見ることが出来ず、俯きながら返事した。

久しぶりに…人にお礼を言った気がする。
誰かに助けてもらうとか、考えられへんかったから…。


「何があったんとか、無理には聞かへんけど…1人で、無理すんなよ?」


その優しい言葉に、なぜか一筋の涙が頬を伝った。


なんで、涙出るんやろ?
おかしいやん、意味分からんやん。


ここにいたくないと思い、部屋を出るため立ち上がろうとする。

だが、それはまだ無理なことで…体制を崩し、力也の腕の中におさまった。


「ちょっ、やめて…」


そのまま抱きしめられ、余計に身動きが取れなくなる。


優しくせんといてよ…。
どうせ、今だけやろ。

男なんか…信用できへん。


「じゃあ…何で泣くねん。
 そんなん、目の前で泣かれたら、ほっとかれへんやろ…」