「ちょっと待っててな」
笑顔を向けられ、初めてその人の顔をみた。
かっこいい…。
少しドキッとする…が、すぐさま否定する。
男なんか、みんな一緒。
黙って待っていると、女の人が部屋に入ってきた。
「うわっ、ほんまにケガしてるし。
…腕、捲らしてなぁ」
20歳手前のような雰囲気で、ちょっと…ギャルっぽい。
腕を消毒し、ガーゼが貼られていく。
足や腰を順番に手当てしてもらい、最後に顔を冷やすようにと氷が入った袋を手渡された。
「力也の彼女?」
゛力也゛という単語を聞いて、初めてあの人の名前を知る。
「たまたま…助けてくれただけ」
そういうと、面白気がなさそうな顔をされた。


