もう忘れるって決めたんやから…それは、それでいい。
いつか笑い話にできたらいいねん。


でも今は…会うことも、拓馬くんの話すらしたくない。


「今日は、龍くんは?」


「学校やで」


「えぇな~彼氏!」


゛彼氏゛という響きに、ドキッとする。

龍くんは…あたしの゛彼氏゛やもんな。
なんか、改まると照れくさい。


「ニヤけすぎ」


夏希は、あたしの頬をつまむ。
つい口元が緩んでしまう。

龍の話をしていると、力也の携帯が鳴った。


「あー…もう、こんな時間か。
 俺、今日は帰るわ」