「拓馬くん…」 無意識のうちに、名前を呼んでいた。 彼は一瞬、気づいたのかこちらをチラ見したが、無視して横を通りすぎて行く。 絶対、気づいてたでな? なんで無視するん? あぁ、そうか…。 彼女できたんやったら、そう言ってくれたらいいのに。 好きな人おったんやったら、そう言ってくれたらよかったのに。 …そんなんやったら、優しくせんといてよ。 優しく抱きしめらんといてよ。 頭撫でたりせんといてよ。 …キスなんか、せんといてよ。