でも、そんなあたしの心配をよそに龍くんは微笑んだ。


「それやったら、意味ないやん」


たしかに、そうやけど…。
ほんまに申し訳ない。


「じゃあ、俺帰りますね」


龍はペコッと頭を下げる。
そして、背を向けて歩き出した。


「ありがとう!」


それと、ごめんな、あたしのせいで。


龍は振り向くと、もう一度、頭を下げて曲がり角で姿を消した。