自転車に乗り、家の方向に向かい出すと後ろから名前を呼ばれた。
振り向くと、必死に走って追いかけてくる…龍の姿。
「遅いんで、送ります」
ニコッと微笑む龍。
相変わらず、優しい。
「自転車は?」
「俺、家近いんで歩きっす」
あたしの家は、ここから自転車で20分くらいの距離ある。
「後ろ乗って? こっから結構遠いし」
さすがに走らせるのは、かわいそう。
「じゃあ、俺こぐんで後ろ乗ってください」
「龍くんが後ろ乗って?」
年下にこがすのは悪いなと思っていると、心の中を読まれたのか彼は少し低い声で言った。
「俺、一応男なんで。
年下やからとか関係ない」


