「もうすぐ来るんちゃうか」


電話を切った力也の言葉に、緊張してくる。


「しばかれるかもなっ」


拓馬に冗談混じりにからかわれ、足を叩いた。

あれから、もう気にすることは一切なくなり、拓馬くんとは普通に接している。


「あっ、きた。こんばんわ~」


部屋の扉が開き、人がぞろぞろと入ってくる。
夏希は先輩と思われる人に挨拶しはじめた。
それを見て、慌てて隣に行き頭を下げる。


「噂の西中の子?
 え、めっちゃかわいいやん!」


突然指をさされ、顔が少し引きつる。
すぐに表情を変えようと、愛想笑いで返した。


「…ルイにそっくり」


誰かがボソッと呟く。
その一言を聞き逃さなかった。


ルイって…誰?


夏希の方に目をやると、聞こえてなかったのか視線には気づかない。


誰のことかは分からないので、それから気にしなかった。