もう、おるはずないよな…。

駅前で、拓馬の姿を探す。
だが、それらしき人影が見つからない。


「せっかく…会えたのに…」


仕方なく立ち去ろうと、振り向いた瞬間…目を細めて笑う、拓馬がいた。


「拓ちゃん…?」


「…おっそ」


おった…。
拓馬くん、待っててくれた…。


「とりあえず、座ろ」


嬉しさと驚きで、涙が出そうになる。

拓馬に手を引かれ、ベンチに腰かけた。