寝られへんかった…。

翌朝、一睡も出来ずにベッドから出た。


…ずっと、拓馬くんのことを考えていた。


「出かけるん?」


リビングに行くと、慌ただしく朝食を作る母の姿。


「うん。 帰る前には、寄るから」


テーブルに並べられたトーストを頬張る。


「仕事?」


「…梓紗は?」


「今日、帰るよ」


何気ない会話をして、父は仕事に向かった。

元々、あまり話さない無口な人。
でも、幼い頃から事あるごとにプレゼントを買ってきて、あたしを喜ばせてくれている。