「もぉ、知らん間におらんなるから心配した」


「ごめんごめん」


夏希の元に駆け寄ると、彼女はニヤけている。


「え、どないしたん?」


不思議そうに夏希を見ると、彼女は梓紗の手を取った。


「あず、分かりやすいよな。
 まぁ…よかったな!」


言葉の意味が理解出来ず、頭にハテナマークが浮かぶ。
すると、夏希は呆れながら梓紗に耳打ちした。


「拓ちゃん」


その瞬間、顔が真っ赤に染まった。
夏希は笑いながら、ピースサインする。


夏希には、やっぱり分かってたんや。
…あたし、分かりやすいんかな?


「明日…会う約束してん」


話は早いと思い、さっきの出来事を話した。


「…言いたいことは、言うんやで?」


「うん…。 もう、最後かもしれんし」


゛最後゛という言葉に、切なくなった。
もう、拓馬くんと話せるチャンスは明日で最後かもしれへん。


そんな複雑な思いを胸に、1日は終わった。