後ろ姿




「…元気やった?」


拓馬は梓紗の表情を伺いながら、口を開く。


「うん…拓馬くんは?」


「元気、やったかな」


最後に会った、あの日と同じような会話で…すぐに沈黙になる。


「今、大阪に住んでるんやってな」


「…うん」


「ほな、明日…帰るん?」


「…うん」


なんなん、あたし。
「うん」しか、言えてない。

ほんまは、もっと、ちゃんと話したいのに…。


「明日…ちょっとだけでいいから、会うてくれへん?」


それは、拓馬からの突然の誘いだった。
反射的に、拓馬の顔に目がいく。

あっ…髪の毛、真っ黒なってる。
ちょっと身長、伸びた?


「…無理?」


つい見とれてしまい、返答するのを忘れてしまう。

梓紗は、すぐに頷いた。