「あたしも、結婚式したいなぁ…」


独り言のように、夏希は呟いた。

…夏希と力也くんは、婚姻届は出しているものの、式は挙げていない。
太晴くんが産まれて、夏希は子育てで忙しいし、力也くんは仕事がある。

金銭の面もあり、2人には時間の余裕もなかった。


「なぁんてな」


夏希は、梓紗に微笑みかけた。

…きっと、これは夏希の本音。
式を挙げたいに決まってる。

でも、今更…言いだせないのだろう。


心配そうに夏希の顔を覗きこむと、彼女は笑っていた。