後ろ姿




龍は、「大丈夫」と言いながら、梓紗の頭を撫でる。

その優しさが、つらい。
こんな風にされたら…逃げたくなる。


「っ大丈夫…!!」


龍の腕を振り払い、玄関を飛びだす。
エレベーターで1階までおり、エントランスを抜けた。

知らぬ間に空は真っ黒で、雨が激しく降っていた。
そんなことは構わず、歩きだす。

…濡れたって、いい。
そんなん、もう、どうでもいい。


…あたしの心の中も、大雨やわ。
しばらくは、降り止まん。

勝手に自惚れてた、あたしが悪いんやけどな…。