「梓紗ちゃんは、彼氏おらへんですか?」


話題があたしのことに切り替わり、頷いた。


「かわいいのに!」


ミユウは鏡越しに首を傾げる。


「なんで?」


「うーん。 出会いがないだけかな」


…出会いなんか、いらん。
あたしは、拓馬くんが好きやから。

笑って誤魔化すと、ミユウは納得がいかないのか考えこんでいる。


「あー、分かった! 好きな人とか?」


その言葉にも笑って誤魔化すと、「図星ですね」と言われた。

否定するが、退かない彼女に…しぶしぶ頷いた。