後ろ姿




腕を軽く掴まれ、とたんに歩きだす。
元来た道を戻り、角を曲がって、屋上へと続く階段をかけ上がる。
すぐに扉があり、それを開くと…、春の風がゆっくりと流れてきた。

屋上から辺りを見渡すと、授業中の教室が見える。
自分の教室も、2年生の教室も見えた。

校舎と反対側には、遠くの方で僅かに海が見える。
決して近い距離ではないのに、天気がいいせいか綺麗に目にうつる。

景色に見とれていると、屋上の真ん中で拓馬が大の字で寝ころんでいた。
右腕を目の上に被せ、眠る体制に入っている。


「こっちこいよ」


そっと呟く彼の声。
ゆっくりと彼の横に腰を下ろした。
来たものの、何も話さない拓馬を不思議に思った。

寝たんかな…?

真上から顔を覗きこもうとした瞬間、目の上から腕を退けた拓馬と目が合った。