…でも、もし本気やったら、失礼やんな。


「…じゃあ、信じます。
 でも、ごめんなさい。
 あたし、好きな人おるんです…」


あたしが好きなんは、拓馬くんだけ。
…あの日、そう誓った。


「って、マジになんなよなぁ!チビのくせにっ」


晴樹は、いつも通りの笑顔を向ける。


「はぁっ? サイテー! もう知らんしっ」


注文していたオレンジジュースを、一気に飲み干す。


「…どんなやつ?」


いつもより低い声で、晴樹は問いかける。
だが、梓紗は拗ねているのか無視をする。


「冗談か本気かぐらいの、見分けつけろよな。
 ……マジで、悪かった。
 でも俺、冗談でなんか告らんし…。
 意味、分かるやろ?」


切なそうに目を細める晴樹。


「まぁ、俺は諦めるつもりなんかないから。
 …で、どんなやつよ?」


少し躊躇するも、晴樹の方に向き直す。
…そして、口を開いた。