振り返らず、扉を開こうとした瞬間…後ろから、抱きしめられた。


「…一生かけて罪を償う。
 ルイが許してくれても、自分自身を許されへん。
 俺は、俺自身に…腹が立ってる」


拓馬は、抱きしめる力を強めた。
目に涙をため、必死に声を振り絞る。


「…会わへん間も、ずっとあずのこと考えてた。
 俺は…あずのこと、好きや。
 だから、あずには幸せになってほしい…」


梓紗は振り返り、拓馬を抱きしめ返す。


「…あたしは、拓ちゃん以外…好きにならへん。
 ずっと、ずっと…拓ちゃんが自分を許せる日まで、待ってるから…」