久しぶりに来た部屋は、前と変わらない姿。
リビングに入り、拓馬は椅子に腰かけた。
そして、状況が全く理解出来ていない梓紗を座らせた。

…緊張した空気が張りつめていく。
気まずくて、前を見れない。

沈黙が続く中、拓馬が先に口を開いた。


「…久しぶり、やな」


「うん…」


目頭が熱くなる。
それを必死にこらえる。

…何を言うのか全く考えていないことを、今更ながら後悔した。


「あー…元気やった?」


元気なわけ、ないやん。
ずっと、会いたかったんやで?

そんなことは言えず、黙って頷いた。

再び沈黙になってしまい、気まずくなる。

何から話せばいいのか、まず、何を話せばいいのか分からない。