…もう、後戻りはできない。
あたしの気持ちを、ぶつけよう。


ガチャッと扉が開き、中から寝癖のついた拓馬が顔を出した。
彼は、梓紗の姿を見た瞬間…口をポカンと開けたまま、立ちつくす。


「…拓馬くん」


…やっと、会えた。

目頭が熱くなり、涙が出そうになる。
それを必死にこらえ、微笑んだ。

…2人の間に、沈黙が流れる。
拓馬は驚きを隠せない様子で、情けない表情をしている。

もう一度、名前を呼ぼうと口を開こうとした瞬間…扉が閉められた。
そして、カギの掛かる音が聞こえた。