玄関まで見送られ、最後にもう一度、拓馬の方をみる。


「身長、伸ばしやぁ」


夏希は、拓馬の頭を軽く叩いた。


「ちびほど態度でかいよなっ」


力也はケラケラ笑いながら、拳をつきだす。
拓馬はその拳に、自分の拳をコツンと当てた。


「お前らも、頑張れよっ!
 って、もう幸せか」


エレベーターに乗り込み振り返ると、…拓馬の姿はなかった。
その瞬間、再び涙が溢れだす。


「もう…拓ちゃんに会われへんねんな」


力也は、泣きじゃくる夏希を自分の胸元に引き寄せる。


「会われへんくても…拓は大事な仲間や」


エレベーターをおり、力也の車に乗る。
しばらく車は停止したまま、2人は黙って涙を流していた。