重たい空気が張りつめる。
…息が、苦しい。



長い沈黙の末、拓馬はため息をついた。


「……何にも変わらんのが、いいとこやな。
 …ルイに許してもらうまで、誰にも連絡したくなかった。
 ルイだけのことを考えて、必死になってた。
 ルイは、許してほしいのはこっちやって言うけど…俺の罪は、重い」


拓馬は、手にしたコップを握りしめる。
手を震わせながら、彼は続けた。


「ルイにしたことは、許されることじゃない。
 だから、今までの償いとして…俺は、幸せになられへん」


…拓馬の話を聞いていて、涙が止まらなかった。
夏希の瞳から次々と溢れだす涙を、力也は拭う。
優しく頭を撫でて、彼女を落ち着かせた。


「…あずのことは、仕方ない。
 好きやし、ずっとそばにおりたいけど、俺は幸せにできへん。
 俺まで幸せになってしまうから…。
 俺のした罪は、重い」


「どうしても…あずとはおられへん?
 あずを幸せにできるのは、拓ちゃんだけやねんで!?」