夏希の強い気持ちに負け、ルイは顔を上げた。
そして、目を合わさず話し始めた。


「…拓馬と会ったんは、つい最近。
 大学から帰ってきたとき、家の前で立ってた。
 見間違いかと…思ったよ。
 あいつ、自分でインターホン越しにしか話されへんとか言ったくせに…」


ルイは困った顔を見せたが、少し嬉しそうな表情を浮かべている。


「…梓紗ちゃんが家にきたよって言ったら、あいつ……悲しそうな顔して笑った。
 いたいくらいに、気持ちが伝わってきた。
 …拓馬には、私は死んだことにしてたやん?
 それを見抜けなかったことを、拓馬はずっと後悔してる。
 自分自身を責めてる。
 …拓馬が梓紗ちゃんに会わへんのは、私のせい……」


誰が悪いとか、そんなんじゃない。
誰かのせいで、あずと拓ちゃんが幸せになれないとか、そんなんじゃない。