「無理して笑われても、嬉しくない。
 俺、今のあずちゃんは…嫌いや」


「…龍くん、何か勘違いしてない?」


龍の手に、自分の手を重ね合わせる。


「もう……終わったことを、思い返さん方がいいって気づいた。
 拓馬くんのことは、もう…思い出。
 拓馬くんも、きっとそう思ってる……」


「あずちゃんは、拓さんを見て見ぬふりしてる。
 自分のこと、守るために逃げてる。
 自分が傷つきたくないから…」


何も言い返せなかった。
龍くんが言った言葉は、何一つ間違ってなんかない。

あたしは、拓馬くんを見ようとしていない。

だって、もう傷つきたくないから…。


「好きなんやったら、最後まで…向き合って」


龍は、弱々しくささやいた。