2人は搭乗口に入って行き、姿を消した。


「…帰ろっか」


龍と肩を並べ、タクシー乗り場に向かう。


「あずちゃんさ……無理してない?」


龍は、梓紗を見ないように口を開いた。


「……無理?」


「うん。絶対…してるよ」


あたしが、無理…してる?


「何も、無理なんかしてないよ」


笑顔を向けると、龍は立ち止まった。


「やっぱり、嘘つくの…へたくそ」


龍は、かぶっていた帽子を深くかぶり直す。
そして、梓紗の腕を掴んだ。