マンションに入ると、龍も来ていた。
その横に腰をおろす。


「…拓ちゃん、東京におるらしいんよ」


「東京?…なんで」


「2個上の先輩が、東京の大学に通ってんねやけどな。
 その先輩が、拓ちゃんを見かけたらしいねん」


彼が、東京に?
……なんで?


黙って、夏希の話を聞く。


「まさかとは、思ったよ。
 でも、確かに拓ちゃんやったって…。
 しかもな、一緒におったん…ルイさんちゃうか」


声が、出なかった。
返す言葉が見つからない。