再び雑誌を読む気になれず、枕に顔を伏せる。

拓馬くん、拓馬くん、拓馬くん…!!

彼のことが、頭から離れない。


…しばらく経ったあと、携帯が鳴った。

もしやと思い、ディスプレイを確認する。


「夏希かよっ」


少しだけ期待した、自分がバカだった。


『大変!!!やばいやばい!!!』


電話越しに騒ぐ夏希。
返事を返す間もなく、彼女は一方的に話をする。


『拓ちゃんの居場所、分かるかも!!!』


えっ………。
拓馬くんの居場所が、分かる…?

驚きを隠せず、声が出ない。


『おーい?聞いてる?
 とりあえず、あたしんち集合!』


夏希との電話を切り、急いで電車に乗りこんだ。

ちょうど学生や会社員が帰る時間帯で、人が多い。

でも、そんなことは気にならなかった。

゛早く、拓馬くんに会いたい゛

ただそれだけを胸に、夏希のマンションに向かった。