後ろ姿




梓紗も小指をつき出すと、ルイが指を絡めた。


「拓馬と、幸せになってね」


言葉とは裏腹に浮かぶ悲しい瞳。
…ルイは、泣いていた。


「…だって、だってルイさんは拓馬くんのことが…」


「この涙は、嬉し涙。
 梓紗ちゃんのおかげで、私は変わった。
 やっと…解放された」


「本当に…あたしが、拓馬くんを好きでいいんですか?」


「私は、もう拓馬のこと好きじゃない。
 人としては、いいやつやけど。
 …拓馬を、幸せにできるのは梓紗ちゃんだけだよ」


ルイさんに認めてもらえたことが、嬉しかった。

あたしは、もう、前に進める。
…拓馬くんを、探そう。
気持ちを伝えたい。
何より、会いたい。