後ろ姿




「…あるとき、3年の先輩に告白されて断ったら、腕掴まれて離してくれへんかってん。
 そのとき、拓馬が助けてくれた。
 それで、…いろんなこと話して。
 じゃあ、最終あいつ、゛俺とは仲間゛とか言うて…拓馬も考え方が一緒やってん。
 それから、前よりも近づいた気して…知らん間に、私は拓馬のこと好きになってた」


「……」


「…中3の夏かな。
 いきなり家きて、桜咲いてるとかわけ分からんこと言うて、河川敷に連れてくれた。
 そこで…告白された。
 ゛俺は嫌みなお前が好きや゛って」


ルイは笑いながら、お茶を一口飲む。


「私、笑ったわ。
 でも、泣いた。素直に、嬉しかったから。
 それから…高1なって、家に送ってもらう途中にな…。
 意識不明の重体やったけど、助かった。
 でも、拓馬は…私のことだけ忘れてた。
 初めはショックやったよ…。
 でも、真っ先に考えたのは…拓馬の未来。
 …このまま忘れられていいと思った。
 その方が、拓馬は新しい人生を生きれる。
 つらい思いするのは、私だけで十分…。
 だから、力也たちには、もし思いだしたら……私は、死んだことにしてって頼んだ」


ルイさんが、自分自身を死んだことにした理由が…今、やっと分かった。
彼女は彼女なりに、考えがあった。
大切な人のために、自分だけがつらい思いをしてきたんだ…。

ルイさんは………すごい。