「ここか……」


大きな門、大きな家…。
表札には゛九条゛と書かれている。

足が…震える。呼吸が乱れる。


「あずちゃんのタイミングで…」


力也はインターホンを指差す。

ここにまで来て、会わないわけにはいかない。
拓馬くんが、どこかにいるはずだから…。

指が震える中、徐々にその指をインターホンに近づける。

あと……数センチ。