後ろ姿




「ルイさんの住所、分かるんやんなぁ?」


夏希は頷くと、1枚の紙切れを取りだす。
受け取ると、東京の住所が書かれていた。


「ルイさんの、おばあちゃんち。
 ここで、一緒に住んでるはず」


紙切れをかばんに入れ、帰り支度を始める。


「今日…行くん?」


「…今行かな、行かへんくなる気するから」


苦笑いすると、夏希は彼女の背中を叩いた。


「いってらっしゃい」


今にも泣きそうな夏希を横目に、ゆっくりと部屋を出た。