廊下を走り、屋上までの階段を駆け上がる。
息を整える間もなく、勢いよく扉を開いた。
龍は、突然開いた扉の方に目を向ける。
梓紗の姿を確認すると、気まずそうに、目を逸らした。
「龍くん……」
駆け寄って、力一杯抱きしめた。
龍は驚いた様子で、固まっている。
「あずちゃん……苦しい」
龍は顔を赤らめ、少し困った顔をする。
ちょっとだけ背が伸びた龍くん。
髪を黒色に染め、ツンツンに立たせた髪型に変わっていた。
「…なんで、避けるん?」
屋上の真ん中に腰をおろし、問いただす。
トオルは気をつかい、屋上をあとにした。
黙って何も答えない龍に、次々と質問責めする。
「いっぱい、話あるんやで。
もっと…早く会いたかった」
目に涙を浮かべながら、精一杯笑った。
「俺のこと、怒ってないん?」
龍は気まずそうに口を開く。
「初めは…怒ってたよ。
でも、やっぱり龍くんは…仲間やから」
「…ありがとう」
龍は深く頭を下げた。
…それから、会えなかった長い時間を埋めるように、いっぱい話した。