「みんなして、俺を騙してたんか…」


拓馬はその場に崩れ落ち、目を真っ赤に染めて涙を流す。

何も言えず、ただじっと見ているだけ。
この3人には、ルイさんを絡めた何かがある。
でも、あたしは知らない。
だから、むやみに言葉をかけれない。


「ルイの居場所、教えてくれ…」


しばらく経ってから、拓馬は弱々しくささやいた。
力也はチラリと、横目で梓紗を見る。

あたしは…無言で頷いた。

ルイさんに、会ってほしい。
会って…向き合ってほしい。


「生きてて、よかったね…」


梓紗は背を向け、走り去る。

…これで、あたしの居場所はなくなった。
もう、拓馬くんと会えない。
彼はきっと、ルイさんの元へいく。


二回目の失恋か…。
さすがに、きついな。


頬を叩き、気合いを入れ直す。
手に触れたガーゼの感触。

゛泥棒女゛
あたし、ルイさんから拓馬くんを奪うところだった。

あたしは結局、刻まれた文字と一緒…。