話している間、2人は背中を撫でてくれていた。


…しばらくして、落ち着きを取り戻した頃、夏希が口を開いた。


「…あたしは、拓ちゃんがあずと幸せになりたいって…心からそう思ってるんやったら、いいと思う。
 拓ちゃんも、いっぱい悩んで、そう決めたんやろうし。
 ……もう少し、待ってみたら?」


夏希の言葉に、胸が苦しくなる。
本当にいいのか、本当にあたしを選んでいいのか。

もう、ルイさんは……いいん?

黙って目を逸らす彼女の頬を、夏希はビンタした。


「次はあんたが、逃げるんか?
 次はあんたが、拓ちゃんを苦しめんか?
 拓ちゃんかて、悩んで悩んで…゛あずと一緒におりたい゛って思ってるはずやで。
 ……ごめんな、叩いて」


夏希は赤くなった頬に、アイスノンを当てる。