すぐに住宅街に入り、家の前でバイクは停止した。
ヘルメットを手渡し、お礼を言う。


「あのさ…拓馬と、何かあった?」


単刀直入に、気にしていたことをぶつけられる。

今日は久しぶりに会った夏希に、拓馬くんとの出来事を話そうとしていた。

助けてもらったことや、会話を聞いてしまい、まだあたしを想ってくれていたこと。

中々切り出せずにいて、次に会う機会にまわしたけれど…いざ、勘づかれると、胸が苦しくなった。


「…なんでですか?」


動揺しながらも、平気な素振りを見せる。


「まぁ…何もないんやったらいいけど。
 俺、結構、勘鋭いから」


力也は笑って、彼女を真っ直ぐ見つめる。

多分…力也くんは気づいてる。
気づいていて、わざと聞いている。