「…でな、来月の頭には引っ越すねん。
 こっから二駅のとこのマンション」


夏希が嬉しそうに話す。
部屋を見渡すと、段ボール箱がぎっしりと積まれていた。


「そういえば、あずの話って?」


夏希は、泣きだす太晴をあやす。


「うーん…また、落ち着いてからでえぇよ」


立ち上がり、ドアノブに手をかける。
夏希も立ち上がろうとするので、その場に引き止めた。