「お人好し」
黙って歩きだす彼の後ろを、追いかける。
「バイク頼むわ」
家の鍵を渡され、拓馬は先に歩いて行く。
停めてあったバイクのエンジンをかけ、拓馬のマンションへと向かった。
…先にマンションにつき、一番奥の部屋で待つ。
拓馬くんの匂いがする。
懐かしい…落ち着く。
急に眠くなり、うとうとしながら彼を待つ。
しばらくすると、玄関の扉が開く音が聞こえた。
拓馬は部屋の扉を開け、ミホを床におろす。
ソファーに寝ころび、目を閉じた。
梓紗は、ミホの腕を肩に回して、風呂場へと連れて運んだ。
肩からおろすと、ビクッとして…ミホは目を覚ました。
「ここで待ってるから…」
ミホに背を向け、その場にしゃがみこむ。
「お人好し」
ミホは黙って服を脱ぐと、風呂場に入った。
シャワーの音が聞こえてきて、安心した梓紗は…眠ってしまった。


