後ろ姿




近づくと、それはミホだった。


「仲間は見つからんかったけど、こいつは見つけた。
 龍も…逃げやがった」


「これ……拓馬くんが?」


ミホの髪はぐちゃぐちゃで、顔には殴られた跡が数ヵ所ある。


「俺は女に手ぇ出さん。
 …龍が電話で場所教えてくれて、来たときには、これ」


ミホの姿を見ていると、何故か、かわいそうに思えてきた。

絶対に許せないし、憎い。

でも、女を殴るとか…最低。


肩を支えながら、ミホの体を起こす。
でも、力が足りなくてうまくできない。
拓馬は目を丸くさせ、驚いている。


「おまっ、こいつが誰か、分かっててやってん!?」


「でも、このままやったら、かわいそうやん…」


拓馬は呆れて、ため息をつく。
でも、梓紗の必死な様子を見て…ミホを抱えた。