後ろ姿




「俺のこと、信用してや…」


力也は目を細め、優しくささやく。


「信用してないとかじゃ…ないです。
 ただ…つらいんです」


ミホとの出来事を思いだし、涙が溢れる。


「じゃあ…こうするわ」


力也は彼女のあごを持ち、無理矢理、視線を合わさす。
目を逸らそうとすると…彼は、目を瞑っていた。

手探りで涙を拭いてくれ、ガーゼを取りだす。
そして再び目を閉じて、頬を触りながら、ゆっくりと彼の手が傷に触れた。