声がする部屋の扉の前で、立ち止まった。
聞き耳をたて、静かに会話を盗み聞きする。


「…やんけ！！
　好きな女の一人も守られへんのか！！」


勢いよく扉が開き、携帯を片手に持った拓馬と目が合う。


「今の…聞いてた？」


首を横に振ると、拓馬の手がそっと頭に触れる。
彼は目を細め、少し微笑んだ。


「ちょっとだけ、待っててな」


拓馬はそういうと、急いで玄関を出て行った。