絡めていた指をほどき、拓馬は振り返る。

その瞬間、頬の傷を思いだし…俯いた。

見られたくない、見られたくない。


「あず…?」


「いやっ…」


頬に触れようとする手を拒み、泣き崩れた。
拓馬も異変に気づいたのか、軽く頭を撫で、そっと部屋を出た。

1人になりたくない。
1人はいや、こわい。
そばにいてほしい。

でも、傷を見られたくない。

゛泥棒女゛と彫られた傷、間違ってない。

知らなかったとはいえ、ミホから龍くんを奪った。


…もっと早くに気づいてたら、こんなことにならなかったのに。