後ろ姿




何も言葉を返せなかった。

こわい…いたい…くるしい。


「ごめんっ!」


拓馬は扉を開け、中の光景を目にする。
梓紗がうずくまり怯えている姿を見て、バスタオルで彼女を覆った。


「無理に入らんくていい。
 ……おいで?」


梓紗を優しく包みこむ。
支えられながら、ベッドに運ばれた。


「とりあえず、横になり。
 なんかあったら…呼んでくれたらいいし」


彼は軽く頭を撫で、部屋から出て行った。