…ワンコールと同時に、繋がる電話。
『今、どこにおんねん!!』
怒鳴るように、彼は大きな声を出す。
「学校の近くの…駐車場」
力なく答えると、電話が切れた。
…数分後、バイクの音と共に自分の名前を呼ぶ声。
「あず!!!」
拓馬の腕の中で、強く抱きしめられる。
少し震える彼の胸で、再び泣いた。
「…とりあえず、家こい」
拓馬におんぶされ、彼の背中で静かな道を行く。
何も考えたくなくて、目を閉じた。
「風呂使っていいから。
…何も考えんでいいから、はよ入り」
拓馬の家につくと、風呂場に通してくれた。
…シャワーで浴びる湯が、頬の傷を刺激する。
「いやっ…ったい、痛い!!!!!!」
痛みと恐怖が、頭の中を支配していく。


