後ろ姿




「龍くん。どういうこと?」


冷たい視線を送ると、彼は顔を上げずに言った。


「俺、あのときミホとケンカばっかりやってん…。
 そんなとき、あずちゃんと出会って…一目惚れした」


「でも彼女、おるやん。
 あたしが…かわいそうやったから?」


「そんなんちゃう!!
 俺はただ、好きやから…告ったんやし」


龍は顔を上げ、慌てて否定する。
その瞳はまっすぐで、目を逸らせなかった。