とりあえず……離れよう。


拓馬を支えながら、離れようとする。
すると、眠っているはずの彼の手が、梓紗を優しく抱きしめた。


「離れんといて…」


拓馬は弱々しくささやく。


「これ以上おったら、あたし…」


゛忘れられへんくなくなる゛。
そう言おうとした瞬間、…キスされた。

拓馬は、腕を組み替えると、再び梓紗の肩にもたれて目を閉じた。