後ろ姿




…こういう、イベント事のときにだけ、拓馬くんに会える。

それは嬉しいものであり、切ないものでもある。


「力、尻に敷かれるな」


その気持ちなど知らない拓馬は、ケラケラと笑う。
見ると、彼は酔っているのか顔が真っ赤に染まっている。


「…酔ってます?」


拓馬の顔を、じっと見つめる。

久しぶりに直視した。
前までずっと、あんま見んようにしてたから…。

ボーッと見つめていると、彼は梓紗の肩にもたれかかった。

完全に酔っているのか、黙って目を閉じている。
その姿に、胸が苦しくなった。

愛しい寝顔、仕草。
大好きな…彼。

今だけ…このままで、いさせてください。